無線電信の巧みと技

William G.Pierpont N0HFF

-改訂2版-

第24章 バンド幅とキークリック

 

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第23章で述べたように、キーイング速度は通常ヘルツ(サイクル/秒)よりもボーレートで表現されます。1ボーは1キーイング要素/秒、つまり1方形波キーイング/秒は2ボーに等しい。標準的単語を50単位とすれば、 (wpm)  / 1.2 = ボー です。(60秒を50単位で割って1.2)

オン・オフキーイング波の高調波分析によると強い奇数高調波と弱い偶数高調波が現れます。良いコンディションの場合3次高調波が現れれば必要な了解度が得られますが、コンディションが悪いと5次高調波まで必要になります。(本当に良い品質には7次高調波まで必要)従って国際規定では最低許容バンド幅は良いコンディションにおいて少なくともボーレートで示すキーイングスピードの3倍、悪いコンディションでは5倍と規定されています。

このように、標準的なwpmで運用する場合、1.2で割ってボーレートに変換し、最高高調波(3、5または7)を掛けます。(これはキャリア周波数を変調するので、送信バンド幅はこの2倍になります)従って、例えば20wpmの場合、第3次高調波までカバーするには50Hzのバンド幅が必要です。第5次高調波までなら83.3Hzのバンド幅のフィルターでカバーできます。

完全な方形波は強烈な瞬間オーバートラベルを各パルスの最初と最後で発生します。このスパイクは他の伝送を妨げる主要なハーモニクスを発生するので特に邪魔になるものです。受信するオペレータにとって、それは不愉快な荒れた品質をもたらします。これらの鋭い波形の角を5~7ミリ秒の遅れで丸めることは満足の行く受信をもたらしますが、あまりに波形を鈍らせると再び信号が汚くなり了解度が低下します。この状況は送信側でのみ治すことが出来ます。もちろん、そこには「良い品質」と問題の有るハーモ二クスのバランスが必要です。修正方法に付いては各機器のハンドブックを参照してください。
 

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