モールス通信は人類の文化遺産! 
(このページは作成中です、内容は適宜更新します。最終更新日:2015/11/10)

ユネスコ無形文化遺産登録活動が始まっています。
ドイツアマチュア無線連盟(DARC)は2011年から準備を初め2014年3月にドイツユネスコ委員会に申請するも。
2014年11月の代表リスト掲載には漏れた模様、引き続き粘り強い活動が必要である。
2015年2月JARLも本活動を推進する意向を理事会で決定 

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文化遺産としての意味:

<世界共通の価値>

モールス信号は人が自らの手で行う通信方式として約170年間にわたり広く利用されてきました。
しかし、近代の通信技術の進歩によりモールス信号を使う必要がなくなりました。
結果として、モールス信号による通信技能の保有者も急激に減少しました。

モール信号は地球上のどの言語よりも多くの国で使用されました。
モールス信号は発音に左右されないという点でしゃべる言葉より優れています。
このことは、異なる国同士、言語に関係なくコミュニケーションが可能になることを意味します。

したがって、次世代の人々にこの通信手段を伝承することは重要な意味を持っています。
モールス通信は早晩我々の生活から完全に姿を消すでしょう。
このままでは、人々はモールス通信が歴史上どのように重要だったのか忘れてしまうでしょう、たとえば1912年のタイタニック号の遭難通信で使われたことなど。

技術の進歩はモールス通信を不要なものとし、将来的にも必要とされないでしょう。
だからこそ、すべての国で保存する努力が強く求められます。

人によるモールス通信は訓練された者のみができることです。
モールスキーを介して人間の指だけで語られるモールス信号という「言語」はユネスコ無形文化遺産憲章の第2章、(a)(e)に該当します。

<日本独自の価値>

米国のペーリーにより米国製電信機とアルファベット(26文字)のモールス符号が伝来したがそれをもとに日本語のカナ(48文字)に対応する我が国独自の和文モールス符号が考案された。
以来約140年間、和文電信は主要な通信に採用され我が国の発展に寄与してきた。

有形文化遺産としても価値の高い(かった)、依佐美送信所や旧佐世保無線電信所(針尾送信所)、などから「ニイタカヤマノボレ」などの歴史に残る電文が発信された。

和文電信は日本語の言葉通りに送受信ができるモールス符号であり、訓練された者にはまさに話し言葉の如く自由に扱える利点がある。
このように自国の母国語が自由に扱えるモールス符号を持ち発展させてきた国はアルファベットを使う欧米諸国以外では例を見ず、前述の歴史的送信所遺構群とともに文化遺産として継承していく価値のあるものです。

諸外国同様、わが国でも商用でのモールス通信の使用は廃止され、電信技能で生計を立てる術はなくなりました。
そのため、電信技能の伝承はモールスを趣味として使用しているアマチュア無線家に委ねられているのが現状です。
ユネスコ無形文化遺産登録申請の動き: 

【海外】
2010年頃 ドイツの元プロ船舶通信士達がモールス通信をユネスコの無形文化遺産に登録するための活動グループ(IKM=Interessengruppe Kulturerbe Morsetelegrafie)を設立、活動を開始した。(発起人はDJ7ZY, DL8HCI, DL9CM)
      
2011年8月 IARU Reg.1地域会議で本活動推進を採択。
      IARUの要望に基づきドイツアマチュア無線連盟(DARC)がUNESCOに提出する請願書のひな形を作ることとなった。

2012年8月(12月か?)  DARCが作成した請願書草案はIARU Reg.1の加盟団体とIARUの総裁に送付されるとともに、Reg1域外でも同様の活動が進められることを期待してReg2,Reg3の会長にも回付された。なぜなら、モールス通信は1830年来世界各国で利用されてきたからである。活動に際して注意しなければならないのは、登録の申請ができるのは、IARUでもその加盟団体でもなく2006年無形文化遺産保存憲章を批准している各国々のユネスコ委員会である。
 我々の活動は以下の2つの大目標を持っている
 1.モールス通信が無形文化遺産としてユネスコに認知されリスト"representative list"に登録されること。(これが当面の目標)
 2.リスト登録されたのち、各国での記録収集、技能保護などの活動の実施

2014年3月 IKMとDARCが共同の「モールス文化遺産」作業班(AKM)を設置しドイツのユネスコ委員会(DUK)にモールス符号の無形文化遺産登録を申請。

2014年11月、ユネスコ本部で開催されたユネスコ無形文化遺産保護条約第9回政府間委員会でモールス通信技能の保護については代表一覧表への記載は見送られた模様。(ドイツ国内だけで128もの申請がありそのうち1件しか推薦を受けられないため国内選考で残れなかった)


【国内】
2015年2月 第21回理事会において本活動についての議論がなされ、JARL創立90周年を機にモールス符号のユネスコ無形文化遺産への登録を目標にすることに意義を認め、 DARCの呼びかけに協調し日本の暫定リスト入りを目指して活動を推進することになった。
毎年多くの申請があるため国内の暫定リストに登録されるには長期間の粘り強い取り組みが必要と考えている。

2015年3月 JARLニュース2015春号 P.15の1ページを割いて「JARL創立90周年への提言 モールス符号をユネスコの無形文化遺産へ」と題した告知がでました。 
 JARLの今後の対応として次の4点が挙げられています: 
 1)地方本部、支部、クラブ、関連団体等のモールス通信に関する各種活動を継続・拡大する 
 2)IARUとの連携を密接に保ち、日本ユネスコ国内委員会への折衝を開始する 
 3)モールス通信に関する各種行事実施に際し、文化遺産推進スローガンやキャッチフレーズを定め、 
   キャンペーンとしての組織的な意思統一とPR活動の推進を図る 
 4)日本ユネスコ国内委員会事務局などの助言を求め、資料収集と情報交換に努める 

2015年6月 JARLが特設ページを開設 【モールス符号をユネスコの無形文化遺産へ
←JARLの推進活動ロゴマーク

2015年8月  ハムフェアにてJARLが「モールス符号をユネスコの無形文化遺産へ」活動PR用モールス符号表を無償配布。 
符号表請求方法→ JARL Webのページ 
  ←画像をクリックすると拡大します

[情報ソース]
2012-9 Radio Officers Yahoogroups掲載文 <http://olivier.marsan.free.fr/AMARADNEWS/unescomorse.pdf> 
Southgate Amateur Radio News <http://www.southgatearc.org/index.htm> の2013-1-2記事
<http://www.southgatearc.org/news/january2013/morse_code_as_unesco_intangible_cultural_heritage.htm>
2015-2 第21回JARL理事会報告
2015-3 JARL NEWS春号
2015-6 JARL Web
モールス電信に関する歴史的価値のある機器、建造物:

<日本国内>
依佐美送信所(よさみそうしんじょ)
 参考サイト
 依佐美送信所公式サイト http://yosami-radio-ts.sakura.ne.jp/
 電気興業(株)<http://www.denkikogyo.co.jp/corporate/history2.html>
 愛知県の博物館<http://www.geocities.jp/shimizuke1955/>より
  <http://www.geocities.jp/shimizuke1955/1855yosami.html>
 JA2DJNのページ <http://www.katch.ne.jp/~teru-y/yosami/yosami.htm>


旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設 無線塔 きゅうさせぼむせんでんしんじょしせつ むせんとう
 長崎県
 大正/1922
 1号無線塔、2号無線塔、3号無線塔の3基よりなる 各鉄筋コンクリート造、建築面積102.56?、3基
 長崎県佐世保市針尾中町382番地
 重文指定年月日:20130306
 <http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=272240&imageNum=4>


電信機各種資料

 文化遺産オンライン <http://bunka.nii.ac.jp/> [分野から見る] → [工芸技術(その他)]
 で検索

 または

 郵便博物館 <http://www.postalmuseum.jp/> の収蔵品を参照
 <http://www.postalmuseum.jp/collection/genre/index-88.html>

モールス電信技能継承活動:

■国家資格
 ・総合無線通信士
 ・国内電信級陸上特殊無線技士


■民間活動
 ・JARLモールス電信技能認定
 ・JARL地方支部、全国の愛好者グループや個人による講習会等開催
 ・同じく、インターネットによる情報提供
 ・CQ出版社による関連書籍等の販売
 

参考資料:ユネスコ無形文化遺産について


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